ファイルの内容を書式に従い変換して入力する

fscanf関数は、ファイルの内容を書式に従い変換（編集）して、引数で指定した領域に入力します。

#include <stdio.h>
int fscanf(FILE *stream， const char *format， …);

*streamはfopen関数で取得した、ファイルポインタを指定します。
*format（書式）は第３引数以降で指定する領域に入力する値の変換形式を指定します。
第３引数以降は可変引数で、任意の引数を指定できます。ただし、*formatにより、間接的に引数の型名と個数を指定することになります。fscanf関数がこれらの領域に入力した値を設定しますので、引数は参照渡し（call by reference）になります。

戻り値として、入力した要素の個数を返します。また、ファイルの終わりや、エラーの場合はEOFの値を返します。

*format（書式）は%（パーセント）記号で始まり、「代入抑止フラグ」、「最大フィールド幅」、「長さ指定子」、「変換指定子」が続きます。%と変換指定子以外は省略可能です。

代入抑止フラグは*（アスタリスク）記号で指定します。データは入力しますが、捨ててしまいます。第３引数以降に指定した変数に値を設定しませんので、引数（格納変数）を指定する必要は有りません。

最大フィールド幅は十進整数値で、入力する文字数の最大値を指定します。この値に達するか、一致しない文字が現れるまで読み込みます。ほとんどの変換では、先頭のホワイトスペース（スペースやタブ、等）やヌル文字（’\0’）は最大フィールド幅には含みません。

長さ指定子は数値を表す変換指定子に対して指定でき、次のような意味があります。

hはshort型を表します。
l（小文字のL）は整数への変換入力の場合は、long int型かunsigned long int型を表し、十進浮動少数点実数への変換入力の場合は、double型を表します。
Lは整数への変換入力の場合は、long long型を表し、十進浮動少数点実数への変換入力の場合は、long double型を表します。

変換指定子は変換の型を指定します。変換指定子には下表のようなものがあります。

変換指定子	型名	意味
c	char	通常は１文字を入力します。ただし、最大フィールド幅を指定すれば、指定した分の文字を入力します。なお、入力ストリーム中のホワイトスペースは入力します。入力したく無い場合は、書式制御文字列中に明示的にスペースを指定します。
d	int	符号つき十進整数として入力します。long型に入力する場合は、長さ指定子のl（小文字のL）を、long long型に入力する場合はLを付加します。
f	float	符号つき浮動小数点実数値として入力します。double型に入力する場合は、長さ指定子のl（小文字のL）を、long double型に入力する場合はLを付加します。（e、E、gも同じです。）
i	int	0x又は、0Xで始まる場合は十六進数、０で始まる場合は八進数、その他の場合は十進数値として入力します。
n	int	ここまでに入力された文字数を保存します。
o、u、x、X	unsigned int	符号なし八進数（o）、符号なし十進数（u）、符号なし十六進数（xとX)として入力します。
p	void *	ポインタ値として入力します。
s	char[]	文字列として入力します。入力した文字列の終端にはヌル文字（’\0’）が追加されます。なお、入力ストリーム中に、ホワイトスペースが現れるか、最大フィールド幅に達した場合は文字列の入力は停止します。
[文字列]	char[]	「文字列」中の文字に一致した文字又は、不一致の文字を文字列として入力します。「文字列」の先頭に^（やま）記号を付けると、不一致を意味します。また、連続した文字の中の１文字は-（マイナス）記号で指定ができます。（例えば、英大文字ならば[A-Z]の様に指定できます。）

次の例題プログラムは肥満度（BMI）情報を格納したtemp_2.txtファイル（固定長テキストレコード形式）を入力して、肥満度情報を出力します。ちなみに、temp_2.txtファイルには番号（３文字の整数）、身長と体重及び、肥満度（各７文字の十進浮動少数点数で小数点以下２位まで）が格納されています。

プログラム　例

#include <stdio.h>

int main()
{
  FILE     *fp;
  int      number;         /* 番号 */
  double   weight;         /* 体重 */
  double   height;         /* 身長 */
  double   bmi;            /* 肥満度 */
  int      return_code = 0;

  if ((fp = fopen('temp_2.txt'， 'r')) != NULL) {
    while(fscanf(fp， '%3d%7lf%7lf%7lf'，
                 &number， &weight， &height， &bmi) != EOF) {
      printf('%03d番目\n'， number);
      printf('\t体重：%.2fKg\n'， weight);
      printf('\t身長：%.2fCm\n'， height);
      printf('\t肥満度（BMI）：%.2f\n'， bmi);
    }

    fclose(fp);
  }
  else {
    printf('ファイルのオープンに失敗しました\n');
    return_code = 1;
  }

  return return_code;
}

例の実行結果

$ cat temp_2.txt
0010067.500175.500021.92
0020088.000187.800024.95
0030054.300164.000020.19
$
$ ./fscanf.exe
001番目
        体重：67.50Kg
        身長：175.50Cm
        肥満度（BMI）：21.92
002番目
        体重：88.00Kg
        身長：187.80Cm
        肥満度（BMI）：24.95
003番目
        体重：54.30Kg
        身長：164.00Cm
        肥満度（BMI）：20.19
$